「不安と向き合う方法」
不安に襲われることは誰にでもありますよね。
最近体調が悪いけど、悪い病気じゃないかしら?
最近会社の業績が悪いけど、リストラになったらどうしよう・・・
再就職するにも年齢が高くてできないかも・・・
仕事がなくなったら生活できなくなる・・・
大学受験に落ちたら私の人生どうなるのか・・・・など。。。
考えても仕方がないと分かってるのに「ぐるぐるぐるぐる」考えが止まらない。
悪い妄想が、どんどん大きく膨らんでいく。
起こってもいないのに不安が不安を重ねてしまう。
食事が喉を通らない、寝ても眠れない、など自分ではどうすることもできないというのが不安の特徴です。
この厄介な不安をピタッと止めることができたら有難いですよね。
では、どうすれば不安を消すことができるのか?
結論から言ってしまうと、この不安のメカニズムを知ればいいんです!
手品のカラクリがわかれば、誰だってできるようになりますよね。
それと同じで、不安もそのカラクリがわかれば誰だって簡単に止めることができるようになるというわけです。
今回は、「不安のメカニズム」と「不安を消す」二つの方法をご紹介いたします。
この方法は、心理学の王道のやり方で「基本中の基本」です。
あっと驚くようなことではありませんが、効果の程は心理学のお墨付き。
覚えておけば、必ず役立つ時が来ると思いますのでぜひ最後までご覧ください。
「不安のメカニズム」
まず一つ目の不安のメカニズム。
想像してみて下さい。
10万年前の原始人、山で食べ物を探していると目の前に一匹の「トラ」が現れました。
こちらを睨んでいます。
やばい!ピンチだ!!
危険を感じると、脳の扁桃体という部分が興奮します。
すると扁桃体は、自分に対して命令を下します。
逃げろ!もしくは攻撃しろ!!
これが不安な時に現れる、「いてもたってもいられない」というあの嫌な症状。
「闘争・逃走反応」
さらに戦闘態勢に入るために、扁桃体は「ノルアドレナリン」と「コルチゾール」という二つのストレスホルモンを分泌させます。
すると呼吸が早くなり、心臓は「ドキドキ」。
滑り止めのために、手のひらには汗をかく。
筋肉は収縮し震えがくる。
血管も収縮し「顔面蒼白」。
瞳孔は開き焦点が合わない。
脳の前頭葉が働かなくなり、頭が真っ白に。
あと、今すぐ必要のない消化機能を弱めてしまうため、食欲がなくなったりお腹が痛くなったり。
さらに免疫機能を低下させ風邪をひきやすくなるなど。
これらが不安な時に現れる身体症状。
さらにあともう一つ。
扁桃体はおバカさんな所があって自分でストレスホルモンを出しておきながら、呼吸や心臓が早くなるとこれまた非常事態だということでもっとストレスホルモンを分泌しろと命令する。
扁桃体は自分でやったことを忘れちゃうんですね。。。。
これを何度も繰り返すことによって、ストレスホルモンの濃度がいつまでたっても下がらない薄まらない。
だから不安な感情はいつまで経っても消えない。
考えないでおこうと思ってもいつまでも考えてしまうというわけです。
これが不安のメカニズム。
何をいらんことしてくれてるの?って感じですよね。
最初にも言いましたが、不安は逃げるか攻撃するために必要な感情。
でも今の時代は獣に襲われることもないし、人間同士であれば言葉があるのでなんとかなる。
つまり不安は今の時代に不要な感情。
もちろん多少の不安はモチベーションになるので大切ですけど、顔面蒼白になったり、頭が真っ白になるようなひどい不安は邪魔になるだけ。
いらないんです。
そのため不安のことを「不要残留本能」と呼んでいる哲学者もいます。
では、この不安という不要な本のを消すにはどうしたらいいのか?
その答えは?
「扁桃体を落ち着かせる」「ストレスホルモンの濃度を下げる」
これが出来れば、不安は消えていく。
「不安を消す」
というわけで、続いて「不安を消す」二つの方法です。
まず一つ目は、
「運動」
特に足を使う運動がおすすめ。
「ウォーキング」や「ジョギング」はもちろんですが、近所を一周散歩するだけでも大丈夫。自転車でコンビニに買いに行くとかもいいですね。
というのも不安は「今すぐ動け!」という扁桃体からのサインです。
動けば扁桃体は安心する。
もうピンチが脱出したかな?と
魚を見ると分かりやすいんですけど、水槽の魚に近づくとか「ぱっ」と魚は動きますよね。
でも、2-3秒すると大人しくなります。
そう。動くことで動物の扁桃体は落ち着くようにできているんです。
さらに、人間の場合は足を使って運動すると「セロトニン」が出てきます。
「セロトニン」は不安に効くお薬。
扁桃体をリラックスさせる働きがあるだけでなく、ストレスホルモンの分泌量を正常に戻してくれる働きもある。
だからあの嫌な身体症状も治まってくる、というわけです。
医学の父と呼ばれている「ヒポクラテス」は医学界のお釈迦様みたいな人で素晴らしい教えを数多く残している方です。
その「ヒポクラテス」がこのような言葉を残しています。
気分が悪かったら、散歩に行きましょう。
それでもダメなら、もう一度散歩に行きましょう。
今風に言えば「セロトニン」が出るまで歩きましょうということ。
これが不安を消す一つ目の方法。
簡単ですよね。
でも、これだけではうまくいかないんです。
というのは、運動していったん心が落ち着いたとしても、また不安なことを考えたら扁桃体が興奮してしまいます。
一からやり直しになってしまい、また運動しなければならない。
ではどうすればいいのか。
それが二つ目の方法です。
不安を書き出す。
簡単なことだけど、これがすごいんです。
面白くわかりやすい話があります。
「鉄鋼王のアンドリューカーネギー」
歴史的な大金持ちですが、ある時期たくさんの悩みを抱えていました。
家庭の問題
会社の問題
身内の暴力事件
政治の圧力 などなど
カーネギーは大きな不安に襲われ、思考停止状態に。
もう訳わからない。
もうどうでもいいや。。
カーネギは、自ら命を絶つ決意をします。
鉄砲を取り出そうと、机の引き出しを開けるとそこには便箋が。
カーネギーはふと思います。
ところで私の悩みは何個あるんだろう。
書き出してみよう。
箇条書きにしてみると約70個。
すごいですよね。
普通の人なら一つか二つだと思うんですけど、なんと75。
カーネギーはこの便箋をチョキチョキ切って70枚のカードにしました。
さらにそれを仕分けます。
今すぐできるカード。
今すぐじゃなくてもいいカード。
自分には解決できないカード。
自分には解決できないカードはゴミ箱に捨てました。
そして今できるカードを見つめて一言。
何だこれだけか。余裕だな。
それより腹が減った。
そのまま奥さんと食事に出かけたとさ。
めでたしめでたし。
お分かりいただけたと思いますが、紙に書き出すと「モヤモヤ」と渦巻いていた思考が綺麗に整理されて気持ちが楽になるんです。
それだけではなく、いますべきことが見えてくる。
これを例えるなら、洗濯機。
「不安」というのは頭の中で言葉にできない「モヤモヤ」が「ぐるぐる、ぐるぐる」渦巻いている状態。手が出せない状態。
そして紙に書くというのは、山になった洗濯物を畳んでいる状態。
綺麗に整理できる悩みが小さくなる。
そして次にやるべきことも見えてくる。
というわけです。
ここで二つ目の方法をまとめると、まずは不安を全部書き出す。
次に、今できることを考える。
ひとつ例をあげると、明日は初デート。
うまく話せるかな?
嫌われちゃったらどうしよう?という不安。
まずは、不安を全部書き出す。
うまく話せるかな?
黙り込んじゃったらどうしよう。
嫌われたらどうしよう。
お腹が痛くなったらどうしよう。
女の子の気持ちがわからない。
ドタキャンされたらどうしよう。
次に今できることを考える。
話のネタを10個考えよう。
不潔な男は嫌われるから今から爪を切る。
靴も磨こう。
洗車もしよう。
念のためお腹の薬を持っていこう。
女の子の気持ちがわかるように本を買ってこよう。
ドタキャンの心配は、自分に解決できないので塗りつぶしちゃえばいい。
実際に行動を始めれば、もう不安は消えているはずです。
なぜなら、扁桃体はもう大丈夫と思うと興奮しないようにできているからです。
というわけで、今回のまとめです。
「不安」は一言で言うと、扁桃体の興奮。
今の時代にはほぼ必要のない大昔の本能。
そして、止めたくても止まらないというのが不安の厄介なところ。
これを鎮めるにはまず運動。
運動すると扁桃体が安心するだけでなく、ストレスホルモンの濃度も下がります。
心が落ち着いたら、次に不安を紙に書き出す。
今できることを考える。
ここまで来れば、もう悩みは小さくなっているはずです。
そして行動に移れば扁桃体はすっかりリラックスして、もう不安は出てこなくなるというのが今回のお話でした。
ご紹介しました、「運動」と「紙に書き出す」という二つの方法。
やり方があまりにも平凡すぎていまいち価値を感じないのか、実践してくださる方が意外と少ない。
不安を消すのにこれ以上効果のある心理療法は他にないと思います。
いざという時にはぜひ実践してその効果を確かめてみてください。
また、不安を乗り越えるために行動することで人は成長する生き物です。
たとえ小さな不安であっても、紙に書き出して解決する癖をつければ人間的にも大きく成長できると思います。