【中学校の英語ICT教育事例】 2024年度デジタル教科書「英語」先行導入(小5~中3) 「学習者用デジタル教科書の効果・影響等に関する実証研究事業」


【中学校の英語ICT教育事例】 2024年度デジタル教科書「英語」先行導入(小5~中3) 「学習者用デジタル教科書の効果・影響等に関する実証研究事業」 5 | ICT教育

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文部科学省は25日、2024年度から、小学5年~中学3年の英語でデジタル教科書を本格導入する方針を中央教育審議会の作業部会に示し、大筋で了承された概要をご紹介します。

はじめての学習者用デジタル教科書 中学校英語

生徒が授業中にICT端末を使っていますが、何をしているのでしょうか?学習者用デジタル教科書を利用すると、さまざまな学習方法が可能となります。

「拡大」「書き込み」「保存」等を行うことができます。それらに加え、特別な配慮を必要とする生徒に対しては、教科書の紙面を機械音声で読み上げたり、教科書の紙面のの背景色・文字色を変更・反転したり、教科書の漢字にルビを振ったりすることで、教育的ニーズに応じた効果的な学習方法が実現できます。

また、学習者用デジタル教科書を他の学習者用デジタル教材と組み合わせて使用することにより、学習方法の幅が広がります。

中学校「外国語」としての目標

1.知識及び技能の取得

外国語の音声や語彙、表現、文法、言語の働きなどを理解するとともに、これらの知識を、聞くこと、読むこと、話すこと、書くことによる実際のコミュニケーションにおいて活用できる機能を身につけるようにする。

2.思考力、判断力、表現力等の育成

コミュニケーションを行う目的や場面、状況などに応じて、日常的な笑いや社会的な話題について、外国語で簡単な情報や考えなどを理解したり、これらを活用して表現したり伝えあったりすることができる力を養う。

3.学びに向かう力、人間性等の涵養

外国語の背景にある文化に対する理解を深め、聞き手・読み手・話し手・書き手に配慮しながら、主体的に外国語を用いてコミュニケーションを図ろうとする態度を養う。

これらを踏まえ、学習者用デジタル教科書を効果的に活用することが重要です。では、英語の授業では具体的にどのように使われるのでしょうか。三つのシーンでその具体例を見てみましょう。

英語授業の具体例

1.「知識及び技能の習得」の観点

知識及び技能の習得の観点において、デジタル教科書を活用することで現代の標準的な発音や語彙、表現などの活用の仕方の確認等について、個人のペースで学習する場面です。

音声読み上げ機能を用い、自分のペースで本文を繰り返し聞くことで現代の標準的な発音を何回も確認することができます。

音声を止めたり、同じ箇所を繰り返し聴いたりすることにより語と語の連結による音の変化や、英語特有のリズム・イントネーションなどを真似て発音することが可能です。生徒が自分のペースで教科書本文の音声や、既習の表現の音声を確認できることで、自分が表現したい音声を個別に確認できることが、学習者用デジタル教科書活用のメリットのひとつだと考えられます。

先生のコメント

【質問】

デジタル教科書の活用は、児童生徒のどのような力を育成するのに役立ちましたか?

【コメント】

教科書の音声を繰り返し聴くことができるので、発音やイントネーションを身につけるのに役に立っていると思います。また、わからない音声を聞いて練習していくことで、文字と音声が一致し読める英語が少しずつ増えてきているように思います。

また音声を再生してる時に、今どこを再生しているのかがはっきりわかるので、スローラーナーたちも音読練習が行いやすいと思いました。

2.「思考力、判断力、表現力等の育成」の観点

「思考力、判断力、表現力等の育成」の観点において、コミュニケーションを行う目的や場面・状況などに応じて、デジタル教科書に書き込んだ内容に基づいて自分の考えなどを伝え合っている場面です。

学習者用デジタル教科書の書き込み機能を使うことで、より分かりやすく伝える表現を教科書本文から抜き出して線を引き、視覚化することができます。

それらについて生徒同士で交流することで、新たな視点(表現)を手に入れることができます。教科書本文の語彙や、表現等を自分の伝えたい内容に取り込むことで、自分の考えをより適切に伝えることができます。

デジタル教科書を用いて、実際のコミュニケーションを行う際に使えそうな表現や使ってみたい表現に印を付けます。生徒同士でお互いが印をつけた表現を見比べながら、自分の意見やその理由を伝え合い対話を豊かにさせるよう促します。

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先生のコメント

【質問】

授業のねらいと、そのねらいを達成するためにデジタル教科書をどう活用しましたか?

【先生のコメント】

デジタル教科書では画面の一部を拡大したり、隠したりすることができます。そのおかげで「生徒が考える」そういう場面を用意することができます。学習する表現にイラストなどを拡大したり見せたりすることできるので、教科書の表現がどのような場面で、どのように出てきているのか?ということを丁寧に考えさせていくことで、コミュニケーションの目的、場面、状況に応じ適切に表現できる力へとつながっているのではないかと思います。

3.「学びに向かう力、人間性等の涵養」の観点

「学びに向かう力、人間性等」は「知識及び技能」及び「思考力、判断力、表現力等」を一体的に育成する過程を通して育成されます。ここでは書き込み機能等をさらに生かして生徒が他者との交流を通じ、他者に配慮しながら、主体的に英語で話されていることを聞いて、意味をわかろうとしたり、より適切に表現したりするような場面です。

他者との交流を通じ、コミュニケーションを行う目的や場面状況などに応じて、より適切に表現しようとするため、デジタル教科書の書き込み機能等を活用し、他者への配慮をしながら主体的にコミュニケーションを図ろうとする態度を身につけることが期待できます。

デジタル教科書にメモを取りながら、これまで学習した表現を使いお互いの意見や考えをインタビューします。インタビューに取り組みやすく、主体的にコミュニケーションを図ろうという意欲が向上します。

メモの履歴を使って、レポーティング活動やライティング活動にも繋げることができます。このように生徒同士が対話を繰り返し、領域を統合した言語活動を実施しやすくなります。

先生のコメント

【質問】

デジタル教科書の活用によって、生徒はどのように変容しましたか?

【回答】

教室を実際のコミュニケーションの場として、言語活動する時に「教科書・ノート・ペン」を持っての活動は大変不便だと感じておりました。しかしデジタル教科書だと、タブレット1台で教科書の内容を見返すのはもちろん、活動中に気づいたことやメモすることができたりと非常に便利だと感じています。

またパフォーマンステストに向けて生徒自身が伝えたい内容を、教科書を振り返って獲得していく時に「これって何て読むんだったっけ」「じゃあ聞いてみよう」という風に、その場で音声の獲得をできるようにしたりすることができたので、主体的に学ぼうとする姿勢が身に付いていると思います。

自分の学習を、「あの時は間違えたのに、今回は間違えずに言えた」というような自分で調整をして、学習をしようとする態度が育ってきているように思います。

まとめ

デジタル教科書は、

「1.知識及び技能の習得の観点において、デジタル教科書を活用することで現代の標準的な発音や語彙、表現などの活用の仕方の確認等について、個人のペースで学習する場面」

「2.思考力、判断力、表現力等の育成の観点においてコミュニケーションを行う目的や場面、状況などに応じて、デジタル教科書に書き込んだ内容に基づいて自分の考えなどを伝え合っている場面」

「3.学びに向かう力、人間性等の涵養の観点」

については、「知識及び技能」及び「思考力・判断力・表現力等」を一体的に育成する過程を通して育成されるため、書き込み機能等をさらに生かして、生徒が他者との交流を通じ、他者に配慮しながら、主体的に英語で話されていることを聞いて意味をわかろうとしたり、より適切に表現したりするような場面等で活用することが可能となります。

外国語(英語)学習においては、「知識及び技能の習得」「思考力、判断力、表現力等の育成」「学びに向かう力、人間性等の涵養」の三つの柱と、「聞くこと」「読むこと」「話すこと(やり取り)」「話すこと(発表)」「書くこと」の五つの領域の目標を意識して指導することが重要です。

今回ご紹介したようにデジタル教科書を活用することで、「聞くこと」「読むこと」「話すこと」「書くこと」について、コミュニケーションを図る基礎となる資質能力を育成する事が可能となります。紙の教科書を非常に優れたものですが、デジタル化することにより様々なメリットが生じます。

例えば、英語の学習では「音声読み上げ機能」を使用することで、標準的な音声や語彙・表現などの確認・習得ができるようになります。

音声の学習については、従来は一斉に行われることが一般的でしたが、デジタル教科書を活用し、生徒が音声を自分自身で確認することで、主体的に学習を進めることができます。

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最後に

今回ご紹介したようにデジタル教科書を活用することで、「聞くこと」「読むこと」「話すこと」「書くこと」について、コミュニケーションを図る基礎となる資質能力を育成する事が可能となります。紙の教科書を非常に優れたものですが、デジタル化することにより様々なメリットが生じます。

例えば、英語の学習では「音声読み上げ機能」を使用することで、標準的な音声や語彙・表現などの確認・習得ができるようになります。

音声の学習については、従来は一斉に行われることが一般的でしたが、デジタル教科書を活用し、生徒が音声を自分自身で確認することで、主体的に学習を進めることができます。

また、書き込んだ内容を保存したり、過去の学習内容を振り返ったりすることで、デジタル教科書をポートフォリオとして利用することができます。生徒が、自分ができるようになったことを確認して達成感を高めたり、自分の課題を発見して、その課題克服のために何が必要かを考えたりするなどして、自己調整しながら主体的に学習に取り組む態度を育成することができます。

学習指導要領に基づいた授業づくりを行うには、英語で何ができるようになるかという目標を達成するために、コミュニケーションを行う目的や場面。状況などを適切に設定し、言語活動を通してコミュニケーションを図る資質・能力を育成することが重要です。

聞いたり読んだりして情報を整理したり、再構築したりして、それについての自分の考えなどを深めるため、デジタル教科書に書き込んでいます。メモの履歴を使って、レポーティング活動や、ライティング活動にもつなげるなど、領域を統合した言語活動がしやすくなります。何も資質・能力の三つの柱と、5領域に深く関連しています。

こうした特性を踏まえ、デジタル教科書を効果的に活用することが重要です。GIGAスクール構想の進展に伴い、全国の中学校に1人1台の端末が配備されています。

この環境と、学習者用デジタル教科書を組み合わせることで、生徒の学びがさらに豊かになればと考えています。